『まわる神話構想ノート』より

私は人間の成長物語や人間の深層心理や無意識の鉱脈を描く小説やシナリオを書いていきたい。頭のなかのロジックではなく日常の場面を深く掘り下げた作品であるようにしていきたい。有る劇作家が赤ペンで新聞の広告に劇のシナリオを書きながら「これは私の血だ」といったような覚悟に近い心持ちでものを書いていたい。作家は原稿用紙の升目をうめるのではなく、マス目に生命をふきこんでいるように思えてならない。それはソクラテスの産婆術のようなものだと思う。ロジックを構成する場合であってもそこには作家の魂が宿っているのである。
 ショートショートは「マイナーポエット」(あまり知られない詩)としてできる限り書き続けていきたい。そこには日常的なものであろうし、非日常的なものもまざっているかもしれない<書くことによって勉強して><勉強することによって書く>ようにしていけたらと神に祈っている。