教育哲学ショートショート 「流れ」
サイク氏は無意識に海のことを思っていた。そのことをマダル氏にとがめられたこともあった。
「サイク同じことばかり考えてはいけないよ」
「いいんだ、同じことを考えることがすきなんだ」
マダル氏は深層意識についてくわしい医者だった。医学のことについてはサイク氏のほうがマダル氏よりも上手であったが、サイク氏は論理的な思考が上手だった。
ふたりで泉にいったとき、小屋に泊まることになった。ふたりは深い闇の深夜になるとポーカーをして遊ぶことになった。すると小屋から水がどんどんあふれるようになった。
「なんだろう」
ふたりは思いつめた。流れはとまらずに水が出てきた。
マダル氏はいきり立ちながらみずいろのシートを小屋のまわりにはりめぐらしはじめた。
表現できない水の流れは、やがて河になり、海となって泉をうめつくした。