独学の日々
大谷大学の哲学科にはいって2年間がすぎた。西洋の哲学の荒波をみて日本哲学の噛み砕きにくさに四苦八苦してきた。大学の総合研究室とバイオリン教室と下宿を往復することは大学の門をくぐってから想像もしなかった。「哲学書に君の望んでいる答えは書いていない」のと同様に「大学に望むものは君自身でこしらえなくてはいけないのだよ<場所>になる。そう、<場所>になってしまうんだ。君の<場所>に変化してしまう。幾多の否定弁証法をうけてなんとはなしに<場所>に腰を据えてしまう、それが大学」と叔父は教えてくれたことがある(一部脚色)。
教室の「場所」になじめなくて、個人研究室にいりびたるようになりひとことふたこと西洋哲学の先生と倫理学の先生にいろいろな「教え」をうけた。その「教え」は感覚的で言語を絶するものだった。行為でしめすときもあったので「なにしているのかなぁ?」と意味がその瞬間には解らないこともあった。しかし、三週間たつと意味が突如として実感できるのでそのとき実感の現象として「微笑み」がころびた。
個人研究室から総合研究室にいりびたるようになると助教授に哲学的な疑問から、いかにして哲学をこころざしたかまでさまざまなことを問うた。総合研究室の張り紙の研究会に出席したりもした。しかし、哲学の問題は哲学を活かして医学や美学に応用していくことで教育に携わりたい。
しかし、今までは教室に一回くらいしかはいったことがないので「教育」とお題目をとなえても成仏できるはずもない。語学に関してはすべて独学である。古典ギリシア語は基礎の文法書二冊と引用語辞典。フランス語は『フランス語ハンドブック』と『エキスプレス フランス語CDつき』そしてロシア語は『基礎ロシア語入門CDつき』ドイツ語は関口存男文法書(CDつき)で書き込みをしながら学んでいる。
映画を観照するようになってフランス語をまなんでいると、涙のかずだけつよくなれるように魂にのこるものがちがう。古典ギリシア語は学べば学ぶほど舞台や演技の機微が浮かびあがってくる。ロシア語は血がわきたってくる。ドイツ語は発音の問題でてまどっている。関係代名詞の発達した言語でドイツの哲学書を原書で読むようになると噛み砕きにくい翻訳の問題がうかびあがってくるとおもわれる。ドイツ語圏の哲学はフィーリングで訳すことや誤魔化しがいっさい効かない。道のりは長いようだ。
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変化表と単語をたたきこんでいる。