音楽とこころの世界   『教育哲学ノート』より

 
 音とこころについて考えはじめたきっかけは、浜松医科大学脳神経外科病棟で福知山線脱線事故の震災者を弔うために一青窈さんが「ハナミズキ」を唄っていた光景を病室のTVでみて涙をながしていたことがきっかけだった。『聖書』を善く読むようになってスピリチュアル・ケアやユング心理学に興味を持つようになった。
 
 私は神学的な<やんわりとした>スピリチュアル・ケアというよりもむしろ聖書解釈学やハイデガーの現存在分析やフッサール現象学をくみあわせたりちみつな「存在のかたわらによりそうケア」を考えていきたい。
 
 すなわち、「病人」ではなくひとりの「人間」として医師がこれまで患者があゆんできた「道程」を<やわらかな眼差し>でみまもり、そして耳をかたむける医療ができれば精神医学の世界もあたたかなものになるのではないかと考察している。