『まわる神話構想ノート』より

ドストエフスキーの作品とトルストイの作品を同時進行で読む試みをおこなっている。ドストエフスキーは『白痴』と『悪霊』、トルストイの作品では『アンナ・カレーニナ』である。今回の読解ではところどころ表現や人物などに線を引き、解釈学的によみといていきたい。なぜならば、ドストエフスキートルストイの<生命の息吹き>を比較しながらよんでいきたいと考えたためである。西田幾多郎西谷啓治トルストイドストエフスキーに言及する論文を書いている。
 特に西田幾多郎の講演筆記には西田の<生命の語り>が<生き生き>と書かれている。そこには『善の研究』からの「純粋経験」の概念の種が生まれているように思われてならない。この<生命の語り>はドストエフスキーの<生命の内なる告白>に限りなく近いであろう。