世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読んで

私はこの作品の世界観がすきだ。内面をえぐるような描写と人間のおくそこをほりすすんでいったファンタジーがそこかしこにみうけられた。音の使い方や比喩がおしゃれでかきかたが的を得ている。玉子がわれてなかからひよどりがででくるような物語りのようだった。フロイトユングの無意識をそのまま物語化したらきっとこんな作品になるのだろうとおもう。村上春樹氏の作品は人間の無意識の鉱脈をぐんぐんほっていくような作品が多いのにたいして『半島をでよ』の村上龍氏の作品は冒険系で現実世界の人間関係に肉薄しているようにおもえてならなかった。
 現在、私は村上春樹氏の『1Q84』と高村薫女史の『新リア王』と笠井潔氏の『哲学者の密室』を読んでいる。どの作品も重厚で『医師と哲学者』のなかにくみいれる先行作品にするつもりである。