『まわる神話構想ノート』より

私は小説を書くときに人物相関図や下書きやプロットを構築することが下手である。そのほうが上手く書くことができそうなのだが、書いているうちに話の筋が見えなくなってしまう。勉強のやりかたも「勉強のやりかた」に関する本を何冊も読んでしらないあいだに<私の感性にあった勉強のやりかた>となってしまった。
 小説を書く時には短編をかいて<書き手>としての力を豊かにするように自らにしむけている。


 ミステリーの書きかたに関する本を熟読している。また村上春樹氏の長編の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読んでいるが、ほんとうに無意識の鉱脈を掘る、雪かきの文学だと思った。深く読むとしんしいんしんしんと≪倍音の文学≫の響きが耳元でささやいてくる。むかし、♪かえる森をなくして〜羽根をたたむとりたち〜♪という唄があったが正にそのとおりの音楽が文学として成立しているので木村敏氏と村上春樹氏の思考の補助線を「なぞって」小説を書いていきたい。