ヘーゲルの頭蓋論についての考え

 私は村上春樹氏の『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』を読んでいる。そのなかで頭蓋骨がモチーフになっている。ひゅうひゅうひゅうと「夢を読む」というファンタジックな行為がなされていることがヘーゲルの考えていた『精神の現象学』のなかの観察する理性のなかの人相術 頭蓋論にかんしてクロスオーヴァーされるとおもわれる。人を直感で触診する技術は古来より発達してきた。その技術のあらわれとしてヘーゲルの「頭蓋論」は深層心理学発達心理学とのかねあいのなかで豊かな深化をとげてほしいという気持ちがある。
 
 深層心理学発達心理学とのかねあいを考察しながら解剖学について考察することは難しいとおもわれるが、ジョルジュ・バダイユの『内的体験』やハイデガーの『有と時』の現存在分析すなわち「人間をあたたかい眼差しで見守る行為」によって医学の分野でも大幅に思想の流入がおこなわれると思われる。
 
 現在は介護やケアリングではハイデガーの『有と時』の現存在分析やキルケゴール実存主義の視点から「人間をみまもるケアリング」についての方向づけがなされている。
 
 精神病理学精神分析学についてももっと人間関係学として教育や医学の「場所」においてその有意義な源泉を活かされればいいと私は望んでやまない。