教育哲学ショートショート 「ミッション・スクール」

 海の善く見える丘の上にある高校があった。男女共学の高校で、教会のような建物は白いカーテンに赤いはんてんをきていた。赤いはんてんには由来があり、校長先生がいつも赤いはんてんを着ていたこと―それが理由だった。
「こっちこいよ、ボビー」
ダニエルは親友のエルキンソンといっしょに学校の裏へとまわった。そこには「十字架」と仲間たちが呼んでいる秘密の基地があった。「十字架」には百科事典と聖書、それからビスケットやぺろぺろキャンデー、チョコレートなどのお菓子があった。
 ダニエルはいつもぺろぺろキャンデーをなめながらチョコレートをかじっている。
「ダニエル、それだから彼女ができないのよ。もの
を食べるときには一個で充分よ。阿呆が甘いものを食べてしまうといつかは馬鹿になってしまうのよ」
「うるさいな、これくらいいいだろ」
「よくないわ、馬鹿は天国へいっても地獄へいってもまともなあつかいを受けないわ」
「よくいった、エルキンソン」
「わかった、わかったよ。じゃあ、このチョコレートを墓にしよう」
「その行為もよくないわ。禁じられた遊びになってしまうわ」
「そうだ、ミハエル・ハイネケ神父に聞いてみよう、きっと善い返事がもらえるはずよ」
 3人は教官室へお祈りをしてから入っていった。教官室には十字架がかかげてあり主イエス・キリストがいたのである。
 ポーク・ソテーのおいしそうな匂いがあたりを包んでいた。3人は窓側のミハエル・ハイネケ神父のところへ歩んでいった。ミハエル・ハイネケ神父は寝たままの状態で手を組んでいた。
「ハイネケ先生」
「また、君たちか・・・・・・」
あきれ顔でハイネケ先生は起き上がり3人にあいさつを交わした。
「なんことだね。またごっこ遊びについて私に神の御名においてこれは許されるか否か、を問おうと来たのではあるまいね」
 ハイネケ神父は流れるようにイタリア語訛りのドイツ語で言った。
「ボビーがお菓子を食べすぎるんです」
「そうか」
するとミハエル・ハイネケ神父はポーク・ソテーをうらがえして言った。
「私も禁じられた遊びをやっていんるんだ。人間は本性をあらわすときには食べ物でわかってしまう」
 ボビーはポケットの中から来る時に持ってきたチョコレートをミハエル・ハイネケ神父