教育哲学ショートショート 「3人のエッセイ」

 カレン氏は京都に住む大学生だった。哲学を学んでおり、ロシア文学を読むことが好きだった。カレン氏には2人の親友がおり、クドウ氏とマクラ氏といった。
 クドウ氏はクイズ王で学生時代からクイズ番組の幾多の賞をもらっていた。神童ともよばれていたが、クドウ氏は神童と呼ばれること嫌っていた。
「あたりまえのことをあたりまえのようにあたりまえに生きてきたらこうなっただけです」
とアナウンサーに向かって言っていたことがある。
 マクラ氏は小説家で若いころから小説を書いて生きてきた。ピアノもやっておりピアノの和音がいつも小説の泉になりえる、とマクラ氏の小説は不思議なことに「誰もが」耳もとでささやいているような感覚になる小説だった。マクラ氏は
「ぼくの書いている小説は小説というよりも寓話です」
と言うことが多かった。
 3人ともカフェでコーヒーや紅茶を飲みながら昔の思い出噺を話すことが多かった。昔の経験を糧に≪今をいきていた≫のだっだ。
 カレン氏はマクラ氏と同じように寓話作家であったが、カレン氏はマクラ氏の寓話はパラレルワールドに読者をいざなったり、おとぎの国へつれていってくれるいわば「おとぎばなし」だったクドウ氏は女性的な感性を大切にしていた。五感が鋭くモードの移り変わりに敏感であった。
 そんな3人がフランスとロシアへいったときに3人ともフランスではパリ・オペラ座。ロシアではボリショイ劇場へいったときの意見の違いをカレン氏がエッセイにまとめて出版したところベストセラーにとなった。